発達障害における精神科的な問題 ※絶版
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横田圭司・千田若菜・岡田智 著
発行元 日本文化科学社
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サイズ A5判 222頁
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概要
適応障害、うつ病、統合失調症などの「精神科的な問題」が生じた、概ね15歳以上の91ケースを紹介。どうして生じたのか、何ができるのか、精神科クリニックの経験を共有し、発達障害(広義)の子どもたちが「豊かな成人期を迎えるために」どうしたらよいのかを提言する。
著者らが勤務するながやまメンタルクリニックには、年間約800名前後の新患の方が来院し、そのうち300名以上の方に発達障害(広義)が見られる。また、嘱託医として特別支援学校、入所施設、作業所、通所更生施設、心身障害者福祉センターなどにかかわっているうえ、ジョブコーチがいるというやや特殊な環境にある。ここで得られた臨床経験を、発達障害児・者を抱えた保護者の方、発達障害児の教育に携わっている方、就労支援や作業所などに勤める福祉関係の方、発達障害者とあまりかかわりのなかった精神科医師などと共有することを目的に本書は執筆された。
目次
はじめに
第1章 発達障害と精神科的な問題―症状を捉えるための基礎知識―
1 脳機能と発達障害
2 高次脳機能障害と精神症状
3 前頭葉機能と発達
4 発達障害と精神科的な問題
第2章 軽度知的障害・境界知能の方の精神科的な問題―ケースを通して―
1 ストレスがかかった時の反応―適応障害について―
1)知的障害と適応障害
2)自閉症スペクトラムと適応障害
3)見逃される知的障害・境界知能の適応障害
2 うつ病や強い不安・緊張状態
1)うつ病
2)双極性障害(躁うつ病)
3)カタトニー
4)突然の強い不安―フラッシュバックやパニック発作など―
5)外傷後ストレス障害(PTSD)
6)社会不安障害(社交不安障害)
3 統合失調症?―幻覚・妄想状態について―
1)統合失調症
2)診断に迷うケース
3)自閉症スペクトラムの幻覚・妄想状態
4 情緒不安定な方たち
1)人格障害
2)疼痛性障害
3)解離
4)依存
5)不適切な教育の後遺症―誤った行動パターンの刷り込み―
5 普通コースを歩んだ軽度知的障害・境界知能の方
第3章 中・重度知的障害の方の精神科的な問題―ケースを通して―
1 適応障害
1)身体症状として出現するケース
2)行動障害として出現するケース
3)自閉症スペクトラムと適応障害
2 うつ病
1)中・重度知的障害とうつ病
2)自閉症スペクトラムとうつ病
3)双極性障害
4)ダウン症とうつ病
3 原因の分かりにくいパニック、行動障害
1)原因不明のパニック
2)恐怖症によるパニック
3)発達に伴う行動障害
4)元来の情緒不安定さと関連した行動障害
5)てんかんと関連した行動障害
6)幼児期からの養育環境に起因する行動障害
7)不適切な教育の後遺症
8)トゥレット障害に関連した行動障害
第4章 精神障害の予防―豊かな成人期を迎えるために―
1 情緒安定のために
2 適切な仕事・作業に就くために
3 人に恵まれること
第5章 幼児期・学齢期からの支援
1 発達障害の子どもの発達と心理
1)子どもの心理社会的発達
2)愛着形成について
3)しつけについて
4)自信を持つことについて
5)仲間関係について
2 知的能力について
1)知的障害、境界知能について
2)知的水準による問題の違い
3)認知の偏りについて
4)社会性、行動コントロールの障害について
3 教育環境の選択
1)特別支援教育の展開とともに
2)学校での迫害体験と放置・放任
3)賢い消費者になる
4 学齢期から家庭で取り組むべきこと
1)家庭の機能―しつけと愛情のバランス―
2)過剰適応を生じさせないために
第6章 青年・成人期支援としての就労支援
1 就労支援とメンタルヘルス
2 就労に向けたアセスメントとは
1)就労支援におけるアセスメントの考え方
2)部屋の中でできるアセスメント1―面接による聴き取り―
3)部屋の中でできるアセスメント2―知能検査―
4)部屋の中ではできないアセスメント
3 働き続けるために―ジョブマッチングとフォローアップ―
1)就労支援のプロセス
2)人と仕事の最適な組み合わせを作る―ジョブマッチング―
3)良い形で働き続けるために―フォローアップ―
4 就労支援の質の向上を願って
参考文献
索引
おわりに