発話障害へのアプローチ-診療の基礎と実際ー
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監修:廣瀬 肇(東京大学 名誉教授)
税込価格 5,390円
商品コード 052-5004
サイズ B5判 152頁 |
概要
・“うまく話せない”“ことばがおかしい”“吃る”など、ことばの音が正しく出せない状態、すなわち「発話障害」に対して、どのように向き合っていくか! このテーマに沿って、臨床経験豊かな執筆者たちが詳細かつわかりやすく解説。 ・「実際の臨床場面での診察の進め方」により、すぐに役立つ実践的知識を記述。 ・内容は「小児の構音障害」「成人の構音障害」「吃音」「発語失行」に分かれ、こうした患者さんが、耳鼻咽喉科、神経内科、小児科などをおとずれたらどうするか!?について、豊富な音声サンプル・動画(ウェブ配信)も併せて、具体的に理解できる。 ・耳鼻咽喉科、神経内科、小児科など、「発話」にかかわる可能性のある各科の医師、および臨床にたずさわる言語聴覚士の必携書! |
目次
序 文
第1 章 イントロダクション―ことばと発話― 1 ことばの3 要素 2 ことばとコミュニケーション 3 ことばを話す仕組み 4 発話の障害 5 本書で取り扱う発話障害 1) 構音障害 2) 発語失行症 3) 吃 音
第2 章 小児の構音障害 1 健常児の構音発達 1) 日本語の音の仕組み 2) 構音発達 2 小児の構音障害 分類および定義 3 小児の発話障害の特徴 1) 構音障害 2) 構音障害と鑑別が必要な発話の誤り 3) 鼻咽腔閉鎖不全に伴う発話特徴 ● 実際の臨床場面での診察の進め方―患者が外来を訪れた際,どのように診察を進めていくか― 1.診 察 ①患者の家族の訴えを確認する(紹介状があれば内容を確認する) ②現病歴を聴取する ③既往歴・治療歴・家族歴を聴取する ④子どもに簡単な発話の検査をし,その発話特徴をスクリーニングする ⑤発語器官(構音器官)の形態と機能を観察する ⑥聴力に問題ないか,耳鼻科的な疾患がないか確認をする ⑦生育歴,発達歴を聴取し,言語発達および運動発達に遅れはないか,発話に 関連する問題がなかったか確認する ⑧歯科的な問題はないか確認する ⑨摂食機能に問題がないか問診する ⑩協調運動に問題はないか確認する ⑪以上の所見から構音障害が疑われた場合,言語聴覚士に構音の評価を依頼する 2.鑑別診断 1)機能性構音障害の特徴と対応 ①特 徴 ②対 応 2)器質的問題への対応 ①鼻咽腔閉鎖不全への対応 ②舌小帯短縮症への対応 ③耳鼻科的疾患への対応 ④歯科的問題への対応 3)知的障害・言語発達障害合併例への対応 4)吃音合併例への対応 文 献
第3 章 成人の構音障害 1 発話(話しことば)の要素とその障害 2 成人の構音障害 1) 器質性構音障害 2) 機能性構音障害 3)運動障害性構音障害 3 発話の異常の鑑別 4 発話障害のあらわれ方―運動障害性構音障害を中心に― 1) 声の障害 2) 鼻腔共鳴の障害(鼻音性の異常) 3) 構音の障害 4) プロソディの障害 5) 発話全般の明瞭度と異常度(自然度) 5 運動障害性構音障害の代表的タイプ別の発話障害のあらわれ方 1) 麻痺性構音障害(脳血管障害,筋萎縮性側索硬化症(ALS)など) 2) 運動失調性構音障害(脊髄小脳変性症(SCD)など) 3) 運動低下性構音障害(パーキンソン病(PD)など) 4) 不随意運動に伴う発話の障害 6 運動障害性構音障害のタイプの分類鑑別 1) 運動障害性構音障害の聴覚印象によるタイプの分類鑑別 2) 運動障害性構音障害のタイプの分類鑑別 ● 実際の臨床場面での診察の進め方―患者が外来を訪れた際,どのように診察を進めていくか― 1.発話に注目した簡便な診察の実際 ①問診中の聴診 ②自分で簡単な発話の検査をする ③初期のおおまかな発話の障害の判断をする 2.運動障害性構音障害を疑って診察する場合の要点 1)発話に関係する器官の簡便な観察と診察 ①顔面と頸部 ②顎・舌・口蓋帆・咽頭 2)咽頭喉頭のファイバースコピー下の簡便な観察と診察 ①鼻咽腔 ②喉 頭 3) 運動障害性構音障害の鑑別診断 文 献
第4 章 吃 音 1 吃音と吃音症 1)音声言語症状 2)身体随伴症状 3)心理的反応 2 吃音の症候 3 小児と成人の吃音 1)小児の吃音 2)成人の吃音 4 吃音の発症率と有病率 5 吃音の合併症 6 吃音を有する人たちの心理・精神 7 吃音症の重症度と進展段階 1)重症度 2)進展段階 8 吃音症の起源 9 吃音症の治療 1)言語療法 2)薬物療法 3)心理療法 10 吃音症に対するケア 1)小児での環境調整 2)成人での環境調整 3)セルフ・ヘルプ・グループ ● 実際の臨床場面での診察の進め方―患者が外来を訪れた際,どのように診察を 進めていくか― 1.診 察 ①小児の診察 ②成人の診察 ③身体・神経学的評価と病歴聴取 ④吃音歴の聴取 ⑤音声言語・発話行動の評価 ⑥発話の分析 2.診 断 ①診 断 ②鑑別診断 3.症例への対応―本人・家族への説明 ①吃音症である・吃音症でないことを伝える ②予後と治療方針を説明する ③誤った認識を修正する ④今後の対応を決める 文 献
第5 章 発語失行 1 発語失行とは 1)歴 史 2)日本における位置づけと最近の欧米の動向 3)発語失行の定義 4)病因と頻度 2 発症メカニズム 1)心理言語学的モデル 2)発話の脳内ネットワークと責任病巣 3 神経変性疾患による発語失行(原発性発語失行) 1)原発性進行性失語の臨床型と原疾患 2)進行性発語失行の臨床像と病巣 4 小児発語失行(発達性発語失行) 1)成人における発語失行との違い 2)小児発語失行と遺伝子障害 ● 実際の臨床場面での診察の進め方―患者が外来を訪れた際,どのように診察を 進めていくか― 1.言語症状のみかた 1)診察中に得られる所見 ①発語はあるか ②失語のサインはあるか ③構音障害はあるか 2)神経心理学的検査で得られる所見 ①失語の有無に関する簡易検査 ②標準的な失語症検査バッテリーの使用 ③ AOS の検査 ④ PAOS の検査 2.随伴症状のみかた ①口部顔面失行 ②肢節運動失行 3.病 巣 ① AOS をきたす脳部位 ②頭部MRI のみかた 4.鑑別診断 5.臨床経過・予後 ①急性発症疾患の場合 ②神経変性疾患(PAOS およびPPA-G)の場合 6.治 療 ①急性発症疾患の場合 ②神経変性疾患の場合 7.症例呈示 8.今後の診療に向けて 文 献
[ウェブ配信] 音声・動画ファイル一覧 索 引 監修者・執筆者略歴
Note 一覧 離散的から連続的へ 内科学における構音障害の定義 機能性構音障害 発達性発語失行(developmental apraxia of speech) 共鳴(resonance) 鼻咽腔閉鎖不全を引き起こす疾患 鼻咽腔閉鎖機能の評価方法 正常発達の指標 構音の評価 構音訓練のゴール 口腔内圧を高める訓練 口腔筋機能療法(oral myofunctional therapy:MFT) 自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorders:ASD) 注意欠如/ 多動性障害(attention deficit/hyperactivity disorder:ADHD) 神経・筋疾患に起因する発話の障害=運動障害性構音障害という記述について 痙性と固縮の違い 聴覚印象:自発話とGRBAS 評価 声の高さの異常による障害例 中枢神経系異常に基づくと考えられる,特殊な音声障害―痙攣性発声障害と 本態性音声振戦症― 声帯麻痺について 鼻咽腔閉鎖不全を聴く・視る “音の誤り方の一貫性”と“音の誤りの起こり方の一貫性” 発話のリズム 流暢という用語の使い方 多系統萎縮症(mulltiple system atrophy:MSA) 断綴性発話(scanning またはscanned speech) パーキンソン病における声 自発話を引き出すために 口腔内のチェック 発話と歩行 発話とCSSB 病的反射と(深部腱)反射の亢進 発声以外の動作で鼻咽腔閉鎖を診る重要性 顕在overt と内在covert 発話の流暢性 (speech fluency) ヒトが話すことの背景の説明 喉頭の内視鏡的観察 課題による発話の自動性と自由度 発話の分析 吃音症stuttering の診断 失 行 Broca 失語 神経変性疾患 運動前野 音節と音素 錯語と錯書 foreign accent syndrome
Coffee Break 一覧 きょうだいで同じ構音障害? 双子語がある? 舌足らずとは? 日本語の訛りと方言 ろれつがまわらない 発話の障害について各診療科に期待されること 英国王のスピーチ(The King’s Speech) 2010 年イギリス映画 流暢・非流暢の分類 遺伝子がありすぎてもダメ? ミラーニューロンと言語 |
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